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罪な男


FF世界で、罪の代名詞的存在なヴィンセント。


彼って意外に天然入ってますよねww

そんな彼を中心に書いてみました。ギャグテイストです。

そしてヴィンセントが色んな意味でかわいそうです。(笑)


よろしければ、つづきからどうぞ~(^^)



















罪多き男、ヴィンセント。
 
己に極めて厳しい男である。
自責の念に耐えかねて棺桶に引き篭もった過去さえあるのだ。
 
しかし彼は気付いているのだろうか?
 
本人に自覚のない罪も、またあるという事を。
 
 


 


 
 


 


今宵はWRO主催の舞踏会。

絢爛でありながらも、招待客は少なめという印象を受ける。
世界の有力者達と親交を深め世界再建への足掛かりを確かなものにしたい、というのが舞踏会の趣旨である為だ。有象無象に人数ばかり集めてはただのお祭りで終わってしまう。
 
 
そんな趣旨の舞踏会ではあったが、律儀なリーブは昔の仲間全員に招待状を出していた。

 
この星を、命を懸けて救った彼ら。
彼らこそ招待される権利がある、という思いはもちろんだが、多忙なリーブが仲間に会いたくなった、というのが本当のところだろう。
 

舞踏会の趣旨を聞いていた仲間達は、それぞれ着飾って会場に赴いた。
 



「ティファ!会いたかったよぉ~!」

「ユフィ!久しぶりね、元気だった?」

「元気元気!お、マリンとデンゼルもキメてるね~。それにティファってば綺麗にしちゃって、気合い入ってるじゃーん。」

「ふふ、ありがと。ユフィこそすっかり女らしくなっちゃって。きっとダンスのお相手も引く手数多ね。」

「ダンス?やだやだ、そんなかったるい!ティファこそクラウドと・・・って、あの朴念仁がダンスなんか踊れるわけないか。」
 


けらけら笑うユフィの後ろでクラウドの頬がぴく、と引き攣った。
その気配を察したユフィは振り返ってふふんと笑う。
 


「冗談だって!でもあんた本当に踊れんの?」

「・・・・・・興味ないね。」

「あっそ。相変わらずつまんない男だな。じゃあティファは遠慮せずにじゃんじゃんダンスの申し込み受けちゃいなよ!せっかくの舞踏会なんだし!」
 


クラウドの拳がミシッ、と鳴った。
それこそ、彼の最も危惧している事態なのだ。
 

自分がダンスなんか踊れるわけがない。第一、踊ったりしたら一生のネタにされること間違いない。

しかしこんなに美しく着飾ったティファ(シニョンにまとめて花を飾った髪の毛、
大胆なカッティングの淡いブルーのドレスから強調される見事なボディライン、
ドレスに合わせて新調した華奢なパンプス、
薄く施されたメイクによって普段より艶めかしく輝くティファの明るい顔は、
クラウドの目には女神にしか見えない)を会場のハイエナ共(=男全員)が見逃すはずもなく、
肝心のダンスが始まればきっと彼女の周りに人だかりが・・・・・・。
 


普段ならそんな輩は首根っこ掴んで放り出して始末するが、
ここに集ったのは世界のVIPばかり。

リーブの顔を立てる為にもあまり軽率な行為はできないが、ティファにちょっかいを出す男がいるならどこまで理性が持つか・・・。
 

 
悶々と考え込み始めたクラウドを、マリンとデンゼルが背中をさすって慰めている光景はなかなかシュールだ。

すると後ろで豪快な声が響いた。
 

「マリン!」
「あ、父ちゃん!」
 


声と共に豪快に現れたバレットにマリンが駆け寄る。頑健な体を無理矢理タキシードに押し込んだ、といった風情だ。
 

「マリン、今日は綺麗にしてもらったな~。」

「うん!父ちゃんもかっこいいよ。」

「ありがとうよ。髪の毛はティファにやってもらったのか?」

「うん!このドレスもティファと一緒に選んだんだよ!」

「そうかそうか。すっかり娘らしくなっちまって・・・。もうすぐお嫁に行っちまうのかと思うと父ちゃんは・・・・・・。」

「やぁねバレット。気が早すぎよ。」
 

涙ぐんだバレットに、ティファが笑いかける。
 

「ば、ばか!娘なんてなぁ、あっと言う間にでかくなっちまうんだぞ・・・!俺はそれを思うと・・・。」

「はいはい。じゃあ今日はマリンに変な虫がつかないように、しっかり側にいてあげてね?」

「お、おう。そうだな。」
 


鼻をすすってマリンの手を握り締めるバレット。
そこへハイウィンド夫婦がやってきた。
 


「皆さん、お久しぶりです。」

「よぉ、来てやったぜリーブ!」

「シド!それにシエラさんも!」
 

ティファが歓声を上げて駆け寄っていく。
 

「シエラさん、ピンクのドレスとっても似合ってますね。」

「ありがとう。ティファさんもユフィさんもすごく綺麗で見違えたわ。」

「あたしはこういう窮屈な服は苦手なんだよねー。」

「まぁ、マリンちゃんもすっかり大きくなって。もう立派な娘さんね。」

「あ、シエラさん。今夜はその台詞、禁句です。」
 


女性が集まれば場は一気に華やぐ。そこだけスポットライトが当てられたようだ。
男達はそれぞれの「女神」を見つめてご満悦だった。
・・・その時。
 








「・・・遅れたな。」
 



低い声で入ってきたのはヴィンセント。
歓声と共に振り向いた仲間達は、しかし固まってしまった。
 

無造作だが美しい黒髪。
長身痩躯。
憂いをたたえた端正な顔立ち。
普段はマントに埋もれがちなヴィンセントが、きちんとスーツを着こなしていたのだ。
 

しかもまたそれの似合うこと。
とても棺桶に引き篭もっていた人間とは思えない。
 


普段の彼を知らない者は更なり、彼をよく知る者もあまりのギャップに言葉を失ってしまった。
 
会場の女性たちの視線が一気に釘付けにされる。
 
そしてそれは、ティファ、シエラ、マリンも例外ではない。
 
そしてそれを、クラウド、シド、バレットは瞬時に感じ取った。
 


「・・・あ、久しぶりね、ヴィンセント。素敵じゃない。見違えたわ。」
(ティファ!俺は!?)

「・・・え、ええ。いつもマント姿ですものね。とてもよく似合ってますわ。」
(シエラ!俺のスーツ姿は褒めてもらってねぇぞ!)

「ヴィンセントおじちゃん、かっこいいー!」
(マリン!初恋はまだ早すぎる!
 


思いっきり間違った方向に思考を走らせる男×3。
 

「お前も見違えたぞ、ティファ。」
(「お前」だと?旦那気取りか!?)

「それからシエラさん、お久しぶりです。」
(人様の奥方に低い声で囁くんじゃねー!!)

「マリン、綺麗になったな。」
(ううううちの娘に近付くな!!)
 


ユフィは心底呆れ返って男×3を見ていたが、ふと妙案を思いついた。
すすす、とヴィンセントに近寄って耳打ちする。
 
 
「なぁヴィンセント?あの三人の誰かをダンスに誘いなよ。」

「・・・?それぞれ相手がいるだろう。」

「ばっか、踊れるような輩だと思う?」

「私だって踊りなぞできないが。」

「いいんだよ!手取ってエスコートしてやれば十分(あいつらのハートに火がつく)!」

「・・・悪いが断る。」

「なんでだよ!」

「どうせまたろくでもない事を考えているのだろう?」

「な、何だよろくでもない事って!?」
 


ヴィンセントはそれには答えず深いため息を吐いた。
かちんときたユフィは腕組みをして声を低める。
 


「ふぅ~ん、あの三人じゃ役不足ってわけ?」

「・・・そんな事は言ってない。」

「じゃあなんでだよ!女性に興味はないなんて冷めた事でも言うつもり?」

「・・・そんな事はない。」
 


訝しげにこちらを見つめている女性三人(と後ろで鬼のような形相で睨みつけてくる男三人)に視線を向けるヴィンセント。
 

彼とて男だ。女性を美しいと思う事もあるし、誰かに想いを寄せた事もある。
 
そう、遥か昔に彼が愛した女性も美しかった。
 


(ルクレツィア・・・)
 


今ここに彼女がいたら・・・。
 
ティファのように髪の毛をアップにまとめているかもしれない。
シエラのようにふわりとしたドレスを着ているかもしれない。
マリンが着ているようなルビーレッドが似合うかもしれない。
 


彼の目はもはや目の前の女性達を通り越して、別世界を見ていた。
 
今でも鮮やかに蘇るルクレツィアの姿。

彼女は、ヴィンセントが思い描いた通りに盛装して淡く微笑んでいた。
 


ヴィンセントの顔に微笑が浮かぶ。
 


ぎょっとしたのは現実世界にいる仲間達である。
ヴィンセントの意識が遥か遠くへ旅立っていることを知らない為、こちらに向かって微笑みかけたようにしか見えないのだ。
 



(やっぱりこの男・・・狙ってやがるな
 



男三人の勘違いに拍車をかけているとも知らず、ヴィンセントはルクレツィアに向かってそっと囁いた。
 
 



「・・・綺麗だ・・・。」
 
 



「!?」
訳が分からない女性陣に対し、男性陣の勘違いは完全にだめ押された。
 
 

(・・・殺す。斬り殺す・・・。)

(ヴィンセント、お前には失望したぜ。)

(マリンに近寄りたいなら俺を倒してからだ。)
 
 
 



その後のパーティが荒れたのは言うまでもない。
 

男三人を必死になだめる美しい女性達と、
無表情に逃げ回るヴィンセントと、
VIPを大慌てで避難させるリーブと、
その光景を眺めてご馳走を頬張りながらけらけら笑うユフィ。
 
 
 


ヴィンセント・ヴァレンタイン。
罪多き男。
 

彼の罪リストに「美しさ」と「妄想」も追加するべきかもしれない。


また彼が棺桶に引き篭もらんことを。合掌。






 


(あとがき)
とりあえずヴィンセントが色んな意味でイタい人になってしまった…。
ヴィンセントだけにあらずですが。(笑)
どうしてFFのヒーロー達をギャグにしてしまうんだろう?
でも楽しいんですよww

ナナキやデンゼルも書きたかったけど話の都合上カットしてしまいました。
今度フルキャストで書いてみたいです(^^)
そしてかっこいいヒーローを書くぞー!

読んで下さった方、ありがとうございます。  目次(FF7SS)へ戻る

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Comments
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COMMENT
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2回目
タイトルどうり2回目のコメントですw

ヴィンセント、おもしろいです(*´ー`)
あと3人の男達の怒りようもww
ほんと、罪な男ですよねヾ(;´▽`A``
FFのヒーロー達をギャグにすると
笑えてきます(○´∀`○)w
なんででしょうね!?
でも、はい。笑えますw

りこさんの書く小説は笑えてきて楽しいです!!
他の小説サイトを色々と見て頂かせてるんだけど、りこさんの書く小説は何か違うw
笑いありで楽しいε=(/*~▽)/
これからもFF小説、かかれる事を陰ながら応戦させていただきますww
  • yana さん |
  • 2009/07/25 (08:20) |
  • Edit |
  • 返信
yunaさんへ
yunaさん、こんにちは!
遊びに来て頂けて嬉しいです(^^)

と言うか、数々の鼻血モノのお言葉を頂けて、
あまりの喜びに昇天しそうなんですが…(゜Д゜)

おふざけテイストな作品は特に、「こんな話にしちゃって良かったかな?」と不安になることもあるのですが(書いてる最中はノリノリなんですが)、yunaさんのように少しでも面白いと思って下さる方からのメッセージは本当に本当に励みになります(*´▽`*)
ありがとうございます!

今後もこんなブログですが、またお時間のある時に是非遊びにいらして下さい♪
それでは、嬉しいコメントを本当にありがとうございました!
  • りこ さん |
  • 2009/07/26 (09:43) |
  • Edit |
  • 返信
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