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幸せの形・前編
7000HITを踏んで下さったyunaさんからのリクエスト作品です!

yunaさん、大変お待たせいたしました><

リク内容は「デンゼル×ティファの親子物語」です。
なんという萌え内容(*´д`*)とウハウハしながら長々と書いてしまい、前後編に分けました。
とても楽しく書かせて頂きました!

それでは、つづきから是非~^^










































幸せの形






「ただいま!」


 
家に帰るなり、マリンは俺と繋いでいた手を放してティファに駆け寄り、甘えるように腕にしがみ付いた。

 
「あのね、今日、学校でね・・・。」

 
楽しそうにティファと言葉を交わすマリンを、おやつを食べながらぼんやり眺める。
今日もティファのお手製クッキーはおいしい。
紅茶を啜りながら二人の会話を聞く。

 
「授業参観?」
「うん。来てくれる?」
「もちろんよ。二人が学校で勉強してるところ見てみたいもの。」
「やったぁ!あのね、マリンのクラスの授業参観は5時間目だって。」

 
ガチャン!
思わず紅茶を置いてしまった。

 
「どうしたのデンゼル?紅茶、もしかして熱かった?」
 
 
違うよティファ。熱さ加減は味と共に今日も最高でした。
ってそこじゃなくて。

 
「俺のクラスも・・・5時間目なんだけど。」
「え、そうなの?被っちゃったんだ・・・。」
 
マリンがしょんぼりと肩を落とす。
だから俺としてはこう言うしかない。
 
「俺はいいから、マリンのクラス見てきてよ。」
「でも、デンゼルだってティファに授業参観来てほしいでしょ?」
「別にいいって。また機会あるだろうしさ。」

 
マリンはティファが大好きだもんな。自分のクラス見てほしいよな。
俺は男だし年上なんだし、兄貴として快く譲るよ。


 
「デンゼル・・・・・・。」

 
みなまで言うな、マリン。俺は本当にいいから。

 
「ごちそうさま。」

 
そそくさとおやつを飲み下し、食器をキッチンに運んでからリビングを出る。
 
堂々とした背中で余裕を物語っていることを祈りながら。


 
「デンゼル寂しそう・・・。」
 
 
扉を閉める直前に耳に届いた言葉は聞かなかったことにする。




 
 
 
そして授業参観当日。
 
保護者がちらほらと姿を見せ始めるお昼休みから、クラスは浮き足立っていた。


 
「お前の母ちゃんどこ?」
「っせーな、まだ来てねぇよ。」
「こいつ照れてやんの。」
「なぁ、あのお母さん誰の?すげー美人。」
「うわっ、あのおばさん化粧濃い!」


 
男子達によるチェックが始まる。
割とシビアな評価だけど、ティファなら心配することはない。あんなに美人でスタイルもいい保護者なんて他にいるわけないもんな。
って、俺のクラスには来ないんでした・・・。


 
「お前んとこの保護者は?どの人?」
 
俺の右隣に座るグリスって奴が話しかけてきた。
ちらっと視線を向けてから短く答える。
 
「来ないよ。」

 
はっきり言って俺はグリスが好きじゃない。
 
家が裕福で両親に甘やかされ、欲しい物は何でも買い与えられるそうだ。夏はコスタ・デル・ソルの別荘で過ごしたとか何とか、とにかく家の自慢で長広舌を振るうKYな奴だ。

 
「なんで来ないの?」
「・・・妹のクラスに行ってるから。」
「ふ~ん。そりゃカワイソウに。」

 
にやにや笑いながらの機械的な発音。
腹が立ったけど、相手にしちゃいけない。
そう思い顔を背けた。



 
やがて始業の鐘が鳴り、授業が始まった。

 
教室の後ろにずらりと並び、にこにこしながらこっちを見ている保護者を振り返る。
当たり前だけどティファの姿はない。
 
今頃マリンのクラスを見ているんだろう。
ティファに向かって嬉しそうに手を振るマリンの姿が想像できる。きっと授業に対する気合いも十分で、積極的に挙手して発言してはティファを喜ばせているに違いない。

 
このクラスでも、みんな妙に授業態度がいい。
正答した奴には保護者から拍手が送られている。
わざとボケて笑いを誘ってる奴までいるくらいだ。
 
普段と少し違う熱気の漂う教室。

 
母親達と子ども達の絆を見せつけられているみたいだ。
 
 
もう一度後ろを振り返る。
やっぱりティファはいない。

 
「じゃあこの問題わかる人―?」
「はーい!」

 
一斉に挙がる声と手の群れ。
俺は頬杖をついてその群れに埋没する。

 
ここで俺が正答しても、喜んでくれる人はいないんだ。

 
自分から強がって譲ったくせに、そんな風に考えてしまう自分が我ながら情けない。


 
その時、ふと死んだ母さんの顔が思い出された。
 
母さんが生きていたら、きっとはりきってお洒落して授業参観に来てくれるだろうな。そうしたら俺だっていいとこ見せたいから頑張る。いくらでも頑張れるよ・・・。
 
 
涙が出そうになり、慌てて目を拭った。
こんな時に一人で涙ぐむなんて馬鹿みたいだ。
 
深呼吸して気持ちを落ち着けた時、周辺の席がざわついた。


 
「おい、あの人・・・誰の母さん?」
「うおー、めっちゃ美人!」
「ていうか若ぇ!お姉さんじゃないの?」
「やべ~超綺麗・・・。」

 
・・・うるさいな、人が感傷に浸ってるのに何騒いでんだよ。
美人で若くて超綺麗な保護者なんて・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

 
勢いよく振り向けば、遠慮がちに教室の隅に滑り込むティファと目が合った。

 
「ティファ!?」

 
驚いて口パクする俺に向かってにっこり微笑み、小さく手を振るティファ。

 
なんで?どして?だってマリンは?

 
混乱する俺の様子に気付いた後ろの席の友達が小声で囁く。

 
「あの人、デンゼルのとこの?」
「え?あ、うん。でもマリンのクラスを見てるはずなんだけど・・・。」
「半分ずつ来てくれたんじゃん?時間的にちょうど今半分くらいだよ。」
「そうなのか・・・な。」

 
呆然としたままいつまでも後ろを見ている俺に、ティファは「ちゃんと前向いて」と口パクしてきた。しょうがないんだから、と言って苦笑する時の顔だ。ほんとにティファだ。

 
きちんと前を向いて座り直しながら、思わず笑いそうになってしまった。


 
来て・・・くれたんだ。


 
単純かもしれないけど、俄然やる気が出てきた。

 
「すげぇ胸でかい!」
 
 
目を輝かせて口走った奴の頭を張り飛ばしてから(クラウドの教育の賜物です)、嬉々として鉛筆を握る。
頭をさすりながら涙目で睨んでくる視線は無視。

俺の本番はここからなんだ。




 

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