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ただ、ひたすらに君を乞う

突発的に書いた小話を無理矢理クリスマスにこじつけてみました。(笑)

ろくに下書きもせず推敲もしていないので
普段以上に粗があると思います^^;

時期としてはりん12歳くらい。人里編。

それでもよろしければつづきから是非~^^







































「殺生丸さまだったら、何が欲しい?」



そう尋ねた娘の髪が風にふわりと舞い、夕日の洗礼を受けて紅い光を弾いた。












ただ、ひたすらに君を乞う














りんを人里に預けて数年が過ぎた。


気まぐれに足を運ぶ殺生丸を、りんはいつでも笑顔で迎える。

昔のような嫌悪の情はもはや抱いていないとは言え、
りん以外の人間と馴れ合おうなどとは露とも思わない殺生丸は大抵村はずれに腰を落ち着ける。

今日も、妖と少女は村はずれの大木の下で穏やかな時間を過ごしていた。


幼少の頃の記憶により、人里に恐怖心しか抱けないでいたりんだが、
預かり親の老巫女や村人のおかげでだいぶ克服してきた様子だ。

しかしどれだけ人里に慣れ、同族の温かみに触れようとも、妖を慕う気持ちは少しも変わらない。
滅多に口を開かず感情を露にすることもない妖だったが、りんは全く気に病むことなく他愛ないお喋りを紡ぐ。


この日の会話も、りんの無邪気な一言から始まった。


「今日はね、かごめさまの御国の暦で『くりすます・いぶ』なんだって。」


りんは時折、かごめとかいう名の人間の小娘からいらん知識を植えつけられてくる。
今日もあの小娘はりんに余計なことを吹き込んだらしい。


「『さんたくろぉす』が来てくれる日なの。」
「・・・何だそれは。」
「赤いお着物を着て、白いお髭のおじいさんなの。でね、何でも欲しいものを一つ、枕元に置いていってくれるんだって。すごいよね!りんの処にも来てくれるかな?」
「・・・知らん。」


下らん、と言わんばかりに興醒めしている殺生丸とは対照的に、
りんは黒目をきらきら輝かせている。


「何でもくれるんだよ?何貰おうか迷っちゃうよね。」
「・・・・・・。」
「殺生丸さまだったら、何が欲しい?」
「・・・さぁな。お前は何か欲しい物でもあるのか?」
「え?うーん、そうだね・・・何がいいかな・・・。」


しばし考え込んでいたりんは、思いつかないや、と舌を出して笑った。


「でもせっかく『さんたくろぉす』が来てくれるなら、何か考えておかないといけないよね。そうだ!どっちが早く思いつくか競争しよう、殺生丸さま!」


得体の知れない輩に乞うものなどない、と答えるより先に、りんは黙考し始めた。
真剣そのものといった横顔を打ち眺めながら、殺生丸の思考も取り留めなくたゆたい出す。


欲しい物・・・か。


気まぐれに思考を巡らせてみるが、すぐに欲するものなどないという結論に辿り着いた。
そんな自身を自覚して、少々意外でもあった。


少し前の己なら、欲するものはいくらでもあったと言うのに。

父の遺した三振りの刀。
一族の恥である半妖の異母弟を葬り去り、己に屈辱を味わわせた奈落を滅するに足る力。
それら全てを手に入れれば、父を超えられるのだと思っていた。それらをひたすら求めるのみだった。

だが、今はもはやそのような感情はない。

父への畏敬の念の中に潜んでいたコンプレックスという呪縛から解き放たれてみれば、
己の執着するものなど何一つなかった。


身を焦がすほどに求めるものもなければ、失って恐怖するものもない。


・・・・・・いや。


殺生丸は視線をりんへと転じた。


ひたすら力のみを欲していたあの頃、自分はこの少女を失った。

求めるものはただ力のみだと考えていたはずの己は、刀を振るう為のものだと断じたその腕で、息絶えた少女を抱き締めた。


あの時の形容しがたい喪失感は、今でも生々しく思い出すことができた。


ずっと頭を占めていた“刀の成長”の代償が少女の命だと気付き、
殺生丸は生まれて初めて心底から己の所業を呪った。
少女の死を怒り、悲しみ、そして恐れた。


だが、一度殺生丸の手から零れ落ちた少女は、母の手によって再びこの手の中に戻ってきた。


そしてそれ以来、殺生丸は「愛しき命を失う悲しみと恐れ」を知ったのだ。



“いつかりんが死んでも―――――りんのこと、忘れないでいてくれる?”



いつか少女が口にした言葉の重みも、今なら理解することができる。

妖と異なり、人の一生は短い。
今は無邪気であどけない少女だが、そう遠くない将来、再び自分はりんを失うことになる。

この横顔も、笑みも、匂いも―――――。






真剣に考え込んでいたりんは、不意に後ろから伸びてきた腕に捉えられ抱きすくめられた。


「・・・殺生丸さま?」


驚いて振り仰いでみたが、妖は感情を読み取らせない表情でりんを覗き込んでいる。

少しだけ戸惑っていたりんだが、柔らかく髪を梳かれ、その心地よさに頬を緩め目を細めた。


「もしかして、殺生丸さま、欲しいもの思いついた?」
「・・・どうだろうな。」
「りんには教えてくれないの?」
「お前こそどうなのだ。」
「りん?りんはね・・・・・・。」


快活な少女にしては珍しく言葉を切り、口を噤んだ。
決して不快でもなければ気まずくもない、穏やかな沈黙が流れる。

妖の温かい腕の中で、髪を梳かれる優しい感触に身を委ねていたりんは、
やがてぽつりと呟いた。


「りんの欲しいものはね、殺生丸さまからしか貰えないものなの。だから、『さんたくろぉす』さんには頼まない。」


全ての想いが込められたその言葉に、
妖もまた万感の想いを込めて腕に力を込めた。










ただ、ひたすらに君を乞う――――――。





















・・・言い訳はりんちゃんverのあとがきに書きます・・・。(まだ書く気か

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