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陽だまりの時間
ティファ誕生日おめでとうSSです。

ちょっと遅れてしまいましたが、ティファおめでとう!の気持ちを込めて書きました(^^)

よろしければつづきから~。



































この幸福を、どんな言葉で伝えよう。








陽だまりの時間





 
 
 
例えば、こんな時。
ソファに座るクラウドの両隣に子ども達が飛び乗ってじゃれつく。
 
「クラウド、あのね・・・。」
「クラウド、あの事なんだけど、どう思う?」


何事かをこっそり耳打ちする子ども達の楽しそうな表情と、相槌を打ちながら優しい瞳で二人を見つめるクラウドの穏やかな表情。


「よく頑張ったな、マリン。」
「すごくいいアイディアだと思うぞ、デンゼル。」


窓から差し込む太陽の光を受けて、きらきら光る、陽だまりの中の三人。
私の胸にも温かな陽だまりができる。
幸福感に熱くなる。
 
 

 
例えば、こんな時。
 
「デンゼル!もっとこっち寄って!」

「何だよ、別にここでも写るだろ?」

「ダメ!変な距離ができちゃうもん。」

「だったらマリンがこっちに寄ればいいだろー。」

 
言い合う二人に、カメラを構えたクラウドが苦笑する。

 
「ほら、撮るぞ。こっち向いて笑ってくれ。」

 
ぱしゃ!と心地よい音がして、二人の笑顔がフィルムにおさまる。
洗い物をしていても関心は三人に向いている私は、うっかり食器を落としそうになってしまう。
 
デンゼルがクラウドからカメラを受け取り、好き勝手にマリンやクラウドを撮り始める。
するとマリンがカメラを奪い取り、デンゼルのアップをすかさず撮る。
慌てるデンゼルに、大笑いするマリンとクラウド。たまらず私も笑ってしまう。


 
「ティファ。」
 
クラウドが優しい声で私を呼ぶ。

 
「こっちおいで。」

「え?でも洗い物が・・・。」
 
「子ども達とティファを撮るから。」

 
クラウドが笑顔で手招きするから、つい水を止めてしまう。

 
「ティファ、ここ座って!」

 
マリンに言われた通りソファに座ると、子ども達が両側から私の腕に絡みつき、満面の笑顔でカメラを見つめる。

 
「ティファ、笑って。」

 
目の前にはクラウドの優しい笑顔。

 
変だね、涙が出そうになるなんて。
心から嬉しくて、三人に負けない笑顔になれるはずなのに。
 
あまりに幸せで胸が痛いなんて、おかしいね。

 
「ティファ、ほら、笑えよー。」

「デンゼルがね、変な顔してティファを笑わせてくれるって。」

「む、無茶言うなよ、マリン!」

「さ、デンゼル、張り切ってどうぞ!」

「おいおい~。」

 
おどけるマリンに、困りきったデンゼル。
思わずくすくす笑ってしまった。

 
「そう、その顔。」

 
クラウドが満足そうにシャッターを切る。

 
「次はクラウドとティファだよ。」

 
デンゼルにカメラを託したクラウドが、私の隣にやってくる。

 
「どうポーズとればいいんだ?」

「そうだな~、肩抱くとか。」

「うん、ラブラブな感じがいいな。」

「任せろ。」

 
クラウドがにやっと笑って私の肩を引き寄せるから、慌ててしまう。

 
「ちょ、ちょっと待って!本当にこのポーズで撮る気?」

「いやか?」

「いやじゃないけど・・・は、恥ずかしいよ・・・。」

「それなら大丈夫だ。」

「だ、大丈夫って何が!」

 
そんなやり取りの間も、子ども達はシャッターを切る。

 
「じゃれ合わないで下さい、お二人さーん。」

「ほら、ちゃんとこっち向いて。」

「おーい、ティファ笑ってよー。」

 
恥ずかしくて引き攣った笑顔になってしまう私に、クラウドが囁いた。

 
「カメラマンの言う事は聞くもんだぞ。」

「で、でも・・・。」

「俺は言われなくても笑顔になれるけどな。嬉しいし、楽しいから。」

「クラウド・・・。」

「ティファは、嬉しくない?」

 
真顔で問うクラウドが少し自信なさげで、私は絶対的な確信を持ってそれに応える。

 
「もちろん嬉しいよ。当たり前じゃない。」
 
ぱしゃ!

 
「ナイスショット!」

「見つめ合って微笑み合う、いい写真が撮れたよー!」

 
楽しそうな子ども達の笑顔。
してやったり、な表情のクラウド。

 
「ずるい!私、今すごく無防備だったのに。」

 
抗議する私に、ピースサインでおどける家族。
わざと拗ねる私をクラウドが優しく撫でてくれる。
そんなクラウドと目が合えば、どうしても表情が緩んでしまう。
 

 
“言われなくても笑顔になれる。嬉しいし、楽しいから”
 
ほんとだね。
家族で共有するこんな時間が、たまらなく幸せだね。
思い返すだけで笑顔がこぼれるよ。

 
私の・・・私達の、陽だまりの時間。
 
 


 
例えば、こんな時。
綺麗に包装されたアルバムを贈られた。

 
「お誕生日おめでとう!」

 
そんな言葉と共に。
 
目の前の食卓には、子ども達とクラウドが用意してくれた数々のご馳走。四苦八苦しただろうバースデーケーキ。
天井にも壁にも、折り紙を使って飾りつけがなされている。

 
「このマッシュポテト、全部マリンが作ったんだよ!この前ティファが教えてくれたでしょ?」

「これ、味付けしたの俺だよ!でもクラウドが焦がすんだもん。」

「・・・悪かった。でも天井の飾りつけは全部俺の力作だぞ。」

「このケーキもね、ここにクリーム塗ったのはマリンで、この大雑把なところがクラウド。デンゼルはこの辺。ティファから見て誰が一番上手?」

 
口々に説明してくれる家族。
 
まだエプロンを着けたままのマリン。
鼻の頭にクリームのせてるデンゼル。
髪の毛に折り紙の切れ端が付いたクラウド。

 
胸がいっぱいで、温かくて、何も言えないよ。
ちゃんとお礼を言いたいのに・・・。
 

 
黙り込む私に、クラウドがにこにこしながらアルバムを差し出した。

 
「ティファ、開けてみな。」

 
アルバムには色とりどりの懐かしい写真。
 
デンゼルやマリンの寝顔もあれば、クラウドが仕事先で撮った風景写真もある。

いつの間に撮ったのか、仲間たちの集合写真まである。

私とクラウドのツーショットはハート型にカットされ、『いつでもラブラブ』と注釈までつけられていた。(その筆跡がクラウドのものに見えたけど・・・まさかね?)

 
アルバムの最後は家族四人の集合写真だった。
オートシャッターで撮った、日差し浴びて笑う家族の写真。


 
私への、家族からの最高のプレゼントが、アルバムという形でここに在る。


 
「ティファ、お料理とプレゼント、気に入った?」

 
マリンに見上げられ、私は心から、心の底から笑顔になった。

 
「もちろん!本当にありがとう。」

 
言った瞬間、涙が落ちた。

 
胸の陽だまりがあんまり温かくて、家族からもらったモノがあんまり沢山あり過ぎて、ありがとうしか言えない自分がもどかしくて、幸せで。
 
涙が止まらないよ。


 
もらい泣きしてしまったマリンを、デンゼルが必死に宥めている。
笑いながら涙を流す私を、クラウドが抱き締めてくれた。

 
おめでとう。そしていつもありがとう。

 
そっと耳元で囁きながら。

 
ますます泣けてしまって今は言葉が出てこないから。
だから、涙が止まったら笑顔で伝えよう。



 
ありがとう。私の方こそ、いつもいつも、ありがとう。こんな幸福な、陽だまりの時間を。
 




 
HAPPY BIRTHDAY,TIFA!











 


ほのぼの温かい話を。
ティファ、お誕生日おめでとう!

読んで下さった方、ありがとうございます。 目次(FF7SS)へ戻る

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