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愛しい貴女の為ならば
TRIP×TRIPの夏生さんから、幸せ小説を頂きました!

3周年記念のフリーリクエストという素晴らしい企画に即座に飛びつき、
ずっとずっと大ファンだったサイトの管理人様から念願のリク小説をゲットした私の人生に悔いなし。

それでは、素晴らしい夏生さんワールドへ、つづきからどうぞ~^^























『クラウド、お願い!』

「どうした!?ティファ!」

『出来るだけ早く帰ってきて!もう私達だけじゃ無理!』

 

切羽詰ったティファの声に、クラウドは手の中の携帯電話を強く握り締めた。

 

 

 

 

 

愛しい貴女の為ならば

 

 

 

 

 

セブンスヘブンの前に出来た行列を目の当たりにして、クラウドは息を飲んだ。

いったい何組の客が並んでいるのだろう。最後尾が、並びにある建物の軽く3軒先まで到達している。

広告の威力は凄まじい――。

 

最近エッジの街限定で発刊されるようになった週刊のコミュニティ雑誌に、街の飲食店を紹介するコーナーがある。

長蛇の列はそのコーナーにセブンスヘブンが掲載されたからだった。

話題の店のオススメ料理や店主のコメントを紹介するありふれた内容だが、来店時に「雑誌を見た」と進言すれば

ドリンク一杯無料サービスだとか、お会計5%オフ、といった様々な特典が付いており、集客効果は抜群である。

ここに掲載された店は、その日の客数が倍に跳ね上がるのだ。

 

もちろんティファは準備を怠らなかった。

普段の倍以上の食材を仕入れ、デンゼルとマリンだけでは人手が足りないと、ジョニーに応援を依頼した。

口にこそしなかったが、よりによってジョニーという点がクラウドは気に入らなかった。

ティファに気がある男(と、クラウドは思っている)に頼むぐらいなら自分が仕事を休んで手伝う、と喉まで出掛かったぐらいだ。

だが、同じ飲食店を営んでいるジョニーと、殆ど手伝い経験のない自分と、どちらが戦力になるかなど考えるまでもないことだった。

ティファも店主としてそう考えたからこそ、自分ではなくジョニーを頼ったのだ。

「ジョニーなら百人力よ。クラウドは心配しないで、お仕事頑張ってね」

いつも力をくれるティファの「頑張ってね」が今日の出がけは少しばかり切なかった。 

が、そのジョニー、セブンスヘブンの応援に駆け付けようとしたその足で、道端の凍った水溜りを踏んづけ派手に転倒し、

とっさに身体を支えた腕を 骨 折 してしまったというのだから、なんとも間の悪い…いや、運の悪い男である。
 

『だけどほかの準備は整っていたし、私と子供達だけでも何とかなると思ったの…そうしたら…』
 

そうしたら、この行列だ。客数が倍どころか3倍、4倍になりそうな程の。 

かくして、ティファのSOSがクラウドへ発せられたのだった。

すでにカームからの帰路に着いていたクラウドは、ティファのSOS受信後フルスロットルで愛車を走らせ、普段の倍のスピードで帰って来た。
 

「ちょっとあんた、割り込む気かよ」

「俺は客じゃない…ここの者だ」
 

という会話を最前列の客と交わして扉を開ければ、外の寒さとは対象的に異様な熱気が店内に立ち込めていた。

当然テーブルもカウンターも満席、しかも家の中から普段家族が使っている椅子まで持ち出していて、客がぎゅうぎゅう詰めの状態だ。

開店して1時間ずっとこの状態だったのだろうかと、クラウドは眩暈を覚えた。
 

「クラウド…!」
 

ティファとデンゼルとマリンがすっかり紅潮した顔をいっせいにクラウドに向けて、彼の帰りを心から歓迎した。
 

「で、何をすればいい?」
 

クラウドは身に付けていた肩当てやらソードホルダーやら、多少の荷物やらを居住区の階段の下に放り投げ、厨房で料理中のティファの元へ歩み寄る。

そこへ客席フロアにいたデンゼルとマリンがうまく隙を見計らってやって来て、家族4人がカウンターの中で頭を寄せ合った。

早速ティファの指示が飛ぶ。
 

「クラウドはマリンと交代してフロア係り全般をお願い。

マリンは厨房で私のサポート。デンゼルは今までどおり洗い物とフロア兼務。いい?」

「うん!」

「了解!」

「わかった」
 

マリンとデンゼルとクラウドの声が重なると、さっそくテーブルの客からオーダーの声が掛かった。

マリンからオーダー票とペンを受け取って、クラウドが颯爽とそちらへ向かう。

一方で「おーい、おあいそ!」と叫ぶ客の元へデンゼルが走る。

ティファはひたすらフライパンを振るい、マリンは食材の準備や簡単な調理や飲み物を作ったりと厨房内をくるくる動き回った。

未だかつてない戦場と化したセブンスヘブンで、とにかく必死の4人である。
 

「マリン、キャベツ刻んで」

「クラウド、これ3番テーブルにお願い」

「デンゼル、そろそろ洗い物に入れ」

「ティファ、鳥の唐揚げ一人前追加」
 

クラウドという助っ人が1人加わったことで、流れが格段に良くなっていた。

客もうまく回るようになってきて、行列を気にしていたティファはほっと胸を撫で下ろす。

しばらくは業務上の会話しか出来なかった4人も、時間が経つにつれ僅かだが私語も交わせる余裕が出来てきた。

マリンが煮込み中のスープをかき混ぜながら、少し背伸びをして隣のティファに話しかける。
 

「ねえ、ティファ?」 

「ん?」

「クラウド、すごいね」

「……マリンもそう思う?」
 

ティファは密かに、クラウドの仕事振りに感心していた。

オーダーを取り、料理を運び、会計をして、空いたテーブルを手際よく片付け、次の客を案内する。

慣れない仕事のはずなのに彼の動きには無駄がなかった。この修羅場で次に何をするべきか優先順位を瞬時に判断し、しかも

その判断が適切だ。最初はデンゼルのフォローが不可欠だと思っていたがその必要は全くなく、逆にデンゼルに指示を出したりしている。

オーダーを聞き違えたり、運ぶテーブルを間違えたりといった初歩的なミスもない。

グラスや皿をトレーに載せて運ぶ手つきが時々危ういのを差し引いても余りある働きぶりだ。惚れ惚れしてしまうほどに。


「クラウド、なんだかかっこいい!」

「うん、頼もしいよね」


ティファとマリンは視線を合わせて、くすりと笑い合った。

 

 

外の行列が途絶えたのは、開店してから4時間後――クラウドが帰宅してから3時間後のことだ。

それから間もなく食材が底を尽いたため、セブンスヘブンはいつもの閉店時間より2時間も早く怒涛の営業を終えた。

 

 

 

 

 

――はぁ…
 

最後にシャワーを済ませたティファが、溜め息と共にベッドに倒れ込んできた。

マットの揺れを背中に感じて、クラウドは閉じていた瞼を持ち上げる。


「ごめん、眠ってた?」

「いや、起きてた」


クラウドは、うつ伏せたティファの頬に落ちる髪をかき上げた。

ティファがくすぐったそうに肩をすくめて、微笑む。
 

「さすがに疲れた顔してるな」

「うん…クラウドも」

「俺はそうでもない」
 

クラウドは口端を微かに上げて、余裕の笑みを見せた。
 

「うそ。だって今日はクラウドが一番動いてたもの」

「そうか?」

「うん、テキパキしててよく気が付くし…ちょっとびっくりしちゃった。クラウド、才能あったのね」

「…何の才能だ」

「もちろん、ウエイターの」
 

クラウドはふっ、と小さく笑った。

スムーズに身体が動いたのは、いつもティファとデンゼルとマリンの仕事振りを見ているせいだと思う。

決して接客向きではないけれど、目が回るような忙しさをどこか楽しんでいる自分に気が付いて新鮮な驚きを覚えてもいた。

家族で一致団結して何かをする、それがただ単に嬉しかっただけなのかもしれないが。
 

「今日はごめんね、クラウドも仕事だったのに…」

「いいよ。当たり前のことだろ」

「うん…ありがと…クラウド…」


引き寄せるまでもなく、腕を少し伸ばせば甘えるように身を寄せてくれる仕草が、いとおしい。
 

ティファのためならどんなことでもしてやりたいと、クラウドは強く思う。
 

「困っているティファを助けるのは…俺の役目だから、な」


それはもうずっと昔からのクラウドの願いだ。

人生の目標とも言える。


「だから…ティファから電話もらった時、驚いたけど嬉しかったんだ。やっぱり、どんな時でも頼られたいって思うし…

いや、ティファにとって俺はいまいち頼りない男だってわかってる。でもさ、今日みたいに意外と役に立つこともあるかもしれない…よな」


なんだか予定外の告白をしている自分にクラウドは今更ながら焦った。

照れくささを押さえ込むようにティファを抱く腕に力をこめて、とにかく最後まで伝えようと言葉を続ける。
 

「だからその…今度からはジョニーとか他のヤツなんかに頼らないで、一番に俺を頼ってほ…し…い……」


喉の辺りにかかる規則正しい寝息に気付いて、クラウドは語尾をすぼめた。
 

「……ティファ?」
 

腕の中を覗き込めば、ティファはいつの間にか眠りに落ちていた。

めったに言わない、もしかしたらこの先言う機会もないかもしれない心の内を、ティファはどこまで聞いていただろうか。

そしてたぶん最初から聞いてなかったのだろうと思うと、気の抜けたような、安堵したような、どちらともつかない溜め息が零れた。
 

「まあいいか…今日は見直してもらえたようだし…な」
 

苦笑交じりの独り言を呟いて。

微笑みの名残を浮かべたティファの無邪気な唇に、クラウドはおやすみのキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

FIN

 



この・・・この臨場感!ストライフ一家の一体感!!そしてラストのクラウドとティファの・・・・・・(*´д`*)ハアハア←もはや言葉にならない

リク内容は「二人で協力して戦うクラウドとティファ」でしたv
しょぼいリク内容に対する、このクオリティ・・・!
萌えツボを余すことなく刺激され、管理人は萌え死に寸前です。ええ本望ですとも。

夏生さんの書かれる小説は
透明感があって温かくて艶があって笑いも涙もありで、いつでも幸せを運んできてくれます。
これからも永遠に大ファンです!

夏生さん、本当にありがとうございました!

そして、偉大なる3周年おめでとうございますvvv
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