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Glamorous Season
夏と言えば海
海と言えば水着
水着と言えばティファ!

そんな話です。(どんなだ)

おふざけテイスト。
よろしければつづきから是非(^^)






















Glamorous Season





今日は久方ぶりの休日。
 
 
暑さにも負けずに元気良く遊びに出かけた子ども達を見送った後、
クラウドはのんびりと朝食後のひと時を過ごしていた。

 
今日も絶好調の夏日だが、時折吹いてくる風が優しくカーテンを揺らし頬を撫でる。
心地よい空気の中、夢現でソファに腰掛けていたクラウドだが・・・。



 
『今年の水着はコレで決まり!浜辺の視線を釘付けしちゃおう!』



 
突如テレビから流れてきた騒々しい音楽と声に、意識が否応なく覚醒する。

 
うるさいな・・・。

 
チャンネルを変えようとリモコンに手を伸ばすが、

 
『男性諸君に質問!あなたの彼女に着てほしい水着はどれ??』

 
ふと手を止めて視線を向けた。


 
 
レトロサーフだのハワイアンだの聞いたこともない単語が飛び交う中、
画面では様々なタイプの水着を着たモデル達がそれぞれ挑発的にポーズを決めている。

 
(そういえば前にティファとマリンがコスタに行きたいとか話してたな・・・。って事はやっぱり水着を買うって事だよな。これは真剣に見ておかねば。)

 
俄然やる気を出して画面を凝視し出すクラウド。
 
もちろん登場するモデルは全て、彼の脳内でティファに自動変換されている。

 
露出度の高い水着やパレオを巻くタイプの物、色も柄も山ほどあって迷ってしまう。

 
(あんなに肌を見せるタイプの水着なんて冗談じゃない。しかし俺と二人きりなら是非とも着てもらいたい。だがコスタで着るならああいう少しおとなしめなタイプを・・・。いや、駄目だ。ティファのスタイルで着たらかえって男の妄想を掻き立ててしまう。)

 
モデル達が画面上からいなくなった後も腕組みをして考え込んでいるクラウドの隣に、ふわりとティファが腰を下ろした。
 
ティファにもテレビの音声は聞こえていたのだろう、思案にくれているようだ。
 
 
「何色がいいかな?」

 
ぽつりと呟いたティファに視線を向けるクラウド。

 
「やっぱり買う気なのか?」
 
「うん。ダメ?」
 
「いや、大賛成だ。」

 
即答するクラウドに少しだけ目を見張ったティファは、くすりと微笑んだ。

 
「大袈裟だなぁ。でも嬉しい。ありがとう、クラウド。」

「もちろん俺も一緒に選びにいく。」

「珍しいね。」

「嫌か?」

「全然。クラウドの意見も参考にできるから助かるわ。」

 
ティファも俺を喜ばせようとしてくれているんだな。
 
そう思うと頬が緩む。

 
「でも色なんだよねー。クラウドは何色がいいと思う?」

 
ティファなら何色でも似合うから好きな色にすればいい。

心底からそう思うが、それでは参考にならないかと思い、クラウドは思考を巡らせる。

 
「テレビでは、今年は白が流行りだと言ってたな。」

「白・・・。確かに涼しげでいいけど・・・。」

「不満か?」

「ううん、不満って程じゃないの。でも何だか、ふとした拍子に透けちゃいそうで落ち着かないかなって・・・。」

「やめておこう。」

 
きっぱり言って即座に白を選択肢から削除する。
透けるだなんて冗談じゃない。白を着るならコスタのビーチを貸し切ってやる。
 
首を捻るティファに、とりあえず白と対極にある色を挙げてみる。

 
「黒は?」

「黒だとちょっと重いかな。」

「じゃあピンク。」

「ピンク・・・。」

 
ティファは顔を仰向けて目を伏せた。脳内でイメージしているのだろう。

 
「私やマリンは嬉しいけど乙女チック過ぎない?クラウドもデンゼルも、そういうのあんまり好きじゃないでしょう?」

「そんな事はない。」

「だってクラウドも使うのよ?」

「お、俺も!?」

「家族でお揃いにしたいってマリンが言うから・・・。」

 
確かに家族でコスタに行くなら全員の水着を買うことにはなるのだが・・・。

 
「・・・ピンクはやめとくか。」

「クラウド、もしかしてがっかりしてる?」

「さっきテレビでいいなと思ったデザインがあったんだ。」

「それがピンク色だったの?どんなやつ?」

「ピンクが基調で・・・水玉模様でフリルがついてて・・・。」

 
他にも付属品やら模様やらはあったのだが、用語のわからないクラウドにはこの説明が精一杯だ。
ティファは驚いている。

 
「意外・・・。クラウド、そういうの好きなの?絶対苦手だと思ってた。」

「そうか?」

「うん。クラウドなら青とか、黒―――はさっき言ってたけど、あとグリーンとか、そういう色が好みかなって。しかも、余計な装飾のついてないシンプルなやつ。」

「まぁ、自分のならそうだけどな。」

「私達の好みも考えて、気を遣ってくれたんだね。ありがとう。」

 
ティファがにっこり笑う。
最上級の笑みにクラウドはいつまでたっても慣れることができない。
らしくもなく照れてしまう。
 
そんなクラウドに気付いたティファは、もう一度にっこり笑った。
 
 
「もうサイズは測ってあるの。だからここで悩んでるより、お店に行って実物を見て決めようか。」

「子ども達は連れて行かなくていいのか?」

「うん、ティファのセンスに任せるって。だから余計気合いが入っちゃう。」

 
ぐっと拳を固めるティファに、クラウドの笑みが誘われる。

 
試着の間、しっかり試着室の前で見張ってないとな。

 
そんな決意を胸に抱いて立ち上がる。




 
二人でお買い物なんて久しぶりだね、と嬉しそうに隣を歩くティファを見て、クラウドも幸せな気分だった。

その上、水着をあれこれ試して恥らうティファを想像するとどうしても顔がニヤけてしまう。
夏万歳。


 
さて、どんな水着を選ぼうか。


 
クラウドの足取りは軽い。
 
 


























 
 
だが。

 
店の前でクラウドは呆然と佇むことになる。

 
ティファがうきうきしながら入っていった店の看板には、大きく『カーテン専門店』と書かれていたのだ。

 
何かの間違いかと思ってその場で三十回くらい読み返したが、
看板の文字はどう見ても水着の「み」の字もない。

 
つまりティファが楽しげに話していた台詞の数々は全てカーテンを指していたという事になる。

 
イメージしたティファの水着姿が音を立てて崩壊していく中、現実のティファは実に愛らしい笑顔でクラウドを急かした。

 
「どうしたのクラウド?早く見ようよ!」

 
短い夢だったな・・・。

 
結局、無邪気に手招きするティファの後を、涙目でついていくしかなかった。







 
 
(おまけ)
 
「さっきからなんでそんなに拗ねてるの?」

「だって・・・まさかカーテン選びだったとは・・・。」

「え、違うと思ってたの!?昨日の夜カーテン変えようねって話したじゃない。」

「でもあのテレビのタイミングは勘違いするだろ。」

「私洗い物してたからテレビの音なんて聞こえてないよ。」

「・・・・・・。」

「けど、対象が食い違ってた割には話が噛み合ってたよね。」

「・・・・・・。」

「何の買い物だと思ってたの?」

「・・・・・・水着。」

「へ?」

「コスタに行こうって話をしてたからてっきり・・・。」

「その話・・・いつの?」

「・・・覚えてない。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「つまりクラウドが白だの黒だのピンクのフリルだのをリクエストしてたのって・・・。」

「俺は―――許されたい・・・。」










もう許されなくていいと思うよ(笑)

夏らしくライトなノリの話にしようと思ったらこんな話になってしまいました。
ティファの水着姿は犯罪的に可愛いんでしょうね♪

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