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手を伸ばす
唐突にシンプルな話が書きたくなったので
シンプルな話を書いてみました。(そのままだね

短めですがよろしければつづきから~^^








































 











手を伸ばす








少女は手を伸ばす。
 
間断なく襲いくる物理的な痛み。
頭上から浴びせられる罵声。
地に倒れた少女を心無い足が蹴り上げる。
泣き声すら挙げられぬ少女は救いを求めて手を伸ばす。
その先に見えるは、村人の冷えた眼差しと荒れ果てた大地。
 
 
 
少女は手を伸ばす。
 
妖に回復してほしくて手を伸ばす。
容赦なく振り払われ行き場をなくした小さな手は
ささやかな食料を地に置いた。
妖が口にしてくれることなどなかったが、
それでも少女は連日手を差し伸べた。
その先には、手負いの物の怪がいたのだから。

 
 
少女は手を伸ばす。
 
妖の帰還を待つ間、何もない宙に手を伸ばす。
頭上にかざした指の隙間からは月が見えた。
鳥や雲が見えることもあった。
花が、水が、木々が見えた。
手を伸ばした先にあるもの全てが美しかった。
 

 
少女は手を伸ばす。
 
手を伸ばした先には妖の背中がある。
決して届かぬ距離だが、
決してこちらを振り返らぬ背中だが、
少女はただ嬉しかった。
手を伸ばした先には妖がいるのだから。
 

 
少女は手を伸ばす。
 
その手にふわりと掛けられたのはあでやかな着物。
上質な絹の流れるような手触りに
少女は柔らかな笑みを浮かべた。
時により、伸ばした手に与えられるのは
櫛や草履や髪結いの紐であったりした。
いずれにしろ上等なそれらを少女の手に与えてくれるのは
誰よりも慕わしい妖だった。
 

 
少女は手を伸ばす。
 
少女の細い手は妖の端麗な手に握り締められた。
少女の手を取った妖はそのまま腕を引き、
倒れこんできた少女の体を抱き締めた。
 

 
少女は手を伸ばす。
 
手を伸ばした先に殺伐とした風景が広がっていたのは、
手を伸ばすという行為に見えもしない救いを求めていたのは、
今や遥か遠い彼方----------月隠れの記憶。

























  



















 









しまった左腕描いちゃった!と焦りましたが
よく考えたら兄上の左腕は復活するので無問題(*´∀`)=3

こういう何気ない日常の動作の中にも
殺りんの変化が感じられたらいいなvという妄想でした。

伸ばした手を取ってくれる存在がある。
それだけのことでも、りんちゃんの中では大きな大きな変化だったと思うのです。
同時に、手を伸ばされるという行為は兄上の中で未知のものだと思います。
何が言いたいのかってつまりは殺りんはイチャイチャしてればいい、ということです(゚∀゚)←

読んで下さった方、ありがとうございます。

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