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拍手ログ2

拍手お礼文ログその2。

クラティでパロディもの。

クラウド、ヴィンセント、セフィロスが色々と残念なことになっています。すみません・・・orz
原作の素敵イメージを壊したくない方はUターン推奨。
「受け止めてやるさ!」という銀河のような心の方はつづきから是非^^
















昔々ある所に、美しいお姫様がいました。

しかしお姫様は悪い魔法使いに呪いをかけられ、
100年の眠りについていました。
呪いを解く方法は、姫を愛する王子からの口付けを受けること。

という訳で、若く美しい王子は、名前も顔も知らないお姫様を助けるべく
勇敢に悪の城を突き進みます。

何故名前も顔も知らないお姫様を助けるのかって?

物語とはそういうものだからです。(きっぱり)



かくして、クラウド王子は城をずんずん進んでいました。

案内役の精霊ユフィが王子の側を飛び回ります。


「そろそろ第一関門だよ。でもさー、あんたも物好きだよね。顔も知らない人のために命張るなんて」


しかし、クラウド王子は何故かまだ見ぬ姫の姿が見える気がしていました。
黒くて豊かな髪、透けるように白い肌、赤味がかった瞳…。

うっとり妄想モードに入って足が止まった王子を、ユフィが急かします。


「のへへんとしてないで急ぐ急ぐ!早くしないと先越されちゃうよ!」
「先を越される?」
「姫救出に向かってる王子は、あんた一人じゃないんだよ」
「何だと?」
「ま、お姫様とのチューは早い者勝ちってところだね」
「…行くぞ」


マッハで第一関門の部屋に飛び込む王子。
このエロ王子、とユフィが心の中で呟いたのも当然です。
 
 

 
 
第一関門の部屋には、赤いマントに身を包んだ暗い雰囲気を纏う男がいました。


(こいつ…友達いないだろうな)


失礼なことを考えるクラウド王子。

すると、マントの男が呟きます。


「王子、我が問いに答えよ。さもなくば棺桶の中で悪夢三昧の日々を送ってもらう。それが私の…罪…」

「(何言ってんだこいつ)…さっさと問え」

「お前の求める姫の名前を答えよ。①ティファ②マヨイ③イリーナ」


いきなり難問、と思いきや、クラウド王子は「①」と即答。

あんたなんで姫の名前知ってんのさ、と尋ねるユフィに
心に溶け込む響きだからすぐにわかったと真顔で答える王子。

ユフィはさっぱりわかりませんが、とにかく正解したようなので気にしないことに決めました。

ちなみに、マントの男は道を譲ってからしずしずと棺桶の中へ消えていきました。




第二関門には隻腕の大柄な男が仁王立ちしていました。
王子を見るなり「おせーよ、ティファが待ってんだ、ちんたらすんな!」と説教を垂れてきました。

じゃあそこをどけよ、とツッコむ王子ですが、やはり問いに答えなければならないようです。


「ティファの最大の武器はどれだ?①銃②霊媒③拳とっとと答えろ!」

「…③」

「おう、正解だ。とっとと行け!」


第二関門もあっさり通過して先を急ぐクラウド王子。


「…おい、関門は一体あといくつあるんだ?」

「えーと、あと一つかな」

「…随分と生ぬるいな」

「そう?アタシは逆になんであんたが即答できてるのか全然わかんないけど」

「ティファに関する質問で俺が間違えると思うか?」

「だからそれが不思議なんだってば」


精霊ユフィはため息を一つ。


「でも、次はこうはいかないよ。最終関門だからいよいよボスのお出ましだからね!油断禁物だよ」

「…興味ないね」


クールに言い放って最後の扉を開けるクラウド王子。
ふと、背筋がゾクっと粟立ちます。
剣を構えたと同時に、頭上から声が降ってきました。


「…久しぶりだな、クラウド」



 


 
頭上を振り仰ぐと、長髪の男が何故か上半身素っ裸で降臨してくるところでした。

見なかったことにして先を急ぐクラウド王子。

しかしボスの長い刀で行く手を阻まれてしまいました。


「どこへ行く?クラウド…」

「(顔を背けながら)頼む、どいてくれ」

「クックック。私に恐れをなしたか?」

「…色んな意味で直視したくない」


強張った顔のクラウド王子に、ボスは満足そうに頷きます。


「いい子だ…。クラウド、お前への贈り物を考えていた」

「遠慮する。そして服を着ろ」

「絶望を贈ろうか?」

「いらん」

「それともこの私自身を贈ろうか?」

「もっといらん」

「クックック。どちらにしろ、私を倒さない限り先へは進めんぞ」


ボスが長い刀を振りかざして襲ってきました。
さすがのクラウド王子も激しい攻撃に苦戦を強いられます。

壁際に追い詰められたクラウド王子をおろおろして見ているユフィ。


止めだ!とボスが剣を振り下ろします。


焦ったユフィは咄嗟に叫びました。




「大変!遂に一人目の王子が姫の部屋へ到達しちゃったよ!」




次の瞬間、ボスは空の彼方へ吹っ飛んでいました。

クラウド王子は全速力で走り出します。


ティファ姫との口付け…、それだけは死んでも譲らないぞ!
と背中に書いてあります。


それを見てユフィはやっぱりエロ王子、と呟きました。
 
 

 


 
クラウド王子のあまりの迫力に、
さっき叫んだことはアンタを助ける為の嘘だよと今更言い出せないユフィがあわあわ追いかけるのを尻目に
王子は行き着いた部屋に飛び込みます。


「ティファ!」


薄暗い部屋の中央に据えられたベッド。

姫の顔は見えませんが、かろうじて差し込む窓からの光で豊かな黒髪が認識できます。


「ティファ…!?」


駆け寄ろうとしたクラウド王子は、ベッドの側の人影を見て足を止めました。

長い金髪を一つに括り、青いマントを優雅に広げ、姫の側に跪いています。
まるで、たった今口付けを終えたかのような図…。

言葉もなく立ち尽くすクラウド王子を、金髪の人影が振り向きます。


「ったく、邪魔すんなよな~」


どこかで見たような人物ですが、今はそれどころじゃありません。
クラウド王子は人影を睨みつけました。


「…あんたは?」

「俺?ジタンってんだ。よろしくな」

「その姫は…」

「ああ、この城の主に囚われてた姫さ。たった今助けたからもう大丈夫だと思うけど」

「………のか?」

「え?」

「口付け…したのか?」


墓場から聞こえてくるような暗いクラウド王子の声。

しかしジタンはあっけらかんと頷きました。


「そりゃお姫様を助ける為だし」

「殺す」


一言呟いて、クラウド王子はジタンに斬りかかりました。


「おわっ!?」


尻尾を使って器用に逃げるジタン。
クラウド王子が猛攻開始します。


「おい、待てよ!」

「黙れ」

「待てって!おい!」

「黙れ」

「はっは~ん。さてはあんた、お姫様のチューを狙ってたな?」

「…ぶち殺す」


図星を突かれた王子は超究武神覇斬の構えでジタンに狙いをつけます。
今にも剣を振り下ろそうとした刹那―――。




「クラウド!この姫、ティファじゃない!」




ユフィの叫び声。

王子は剣を振り上げた手を思わず止めます。


「ティファ?…おいおいよく見ろよ。このお姫様はガーネットだぜ?」


ジタンからの決定打。

必殺技を途中で引っ込めたクラウド王子は壁に激突して全治一週間の怪我を負ったとか負わなかったとか。
 
 

 


 
「ほんとに恥ずかしい奴だね。早とちりでブチ切れなんて…王子の名が泣くよ?」


呆れ顔のユフィに言いたい放題言われるクラウド王子。
さすがに一言も言い返せずに正座してます。


「まーでもお互い良かったんじゃん?俺も恨み買わないで済んだし」


朗らかに笑うジタン。


「早くティファ姫の所に行かないと、今度こそ本当に誰かに奪われちまうかもしれないぜ」


その言葉にぴくりとクラウド王子の眉が吊り上がります。

お詫びの言葉もそこそこに、部屋を飛び出しティファ姫の元へひた走る王子。
全力疾走のクラウド王子を横目で窺いながら、ユフィが小声で囁きます。


「ねぇ、アンタさ…」

「?」

「なんか、目的が不純になってきてない?」

「何のことだ?」

「アンタがそんなに一生懸命なのって…」

「ティファを助けたいからだ」


真剣な声色のクラウド王子。
しかし顔にはしっかりと「口付けで」と書かれているのであまり信憑性がありません。

深々とため息をついたユフィの案内で、ようやくクラウド王子はティファ姫の部屋に辿り着きました。



今度こそ、紛うことなきティファ姫その人です。

艶やかな黒髪。抜けるように白い肌。形の良い唇。
間違いありません。ティファ姫です。

呪いをかけられ、昏々と眠りについている姫は恐ろしいほど清廉に見えます。


しばし姫の姿に見惚れていたクラウド王子は、そっとベッドに近寄ります。


「ティファ…」


クラウド王子は、額にかかる美しい黒髪を掻きあげようと、静かに姫に向かって手を伸ばしました。

すると―――。



「待ーった」



不意に声が響きました。





最初にガーネット姫の部屋に間違って飛び込んだのは、ユフィの案内を聞かずに
闇雲に突っ走ったからという裏事情があります(笑)



 

 
 
やっとの思いでティファ姫の元へ辿り着いたクラウド王子に寸止めをくらわせたのは、
茶色の巻き髪をふわふわと揺らしながら現れた綺麗な女性でした。


「…今度は何だ?」


お預けをくらったクラウド王子は不機嫌です。

女性はそんな王子を見てくすっと笑いました。


「わたし、エアリス。あなた、クラウド王子、だね?」

「…ああ」

「ティファ姫を助けにきたんだよね?」

「当たり前だ」


きっぱり答えるクラウド王子を探るように覗き込んだエアリスは、
ふっとため息を吐きました。


「残念だけど、ティファ姫の呪い、もう解けてるの」

「何だと!?誰が…」

「わたし。わたしがさっき解いたの」

「………そういう趣味があるのか?」

「ないわよ!口付けなんかしなくても、これくらいの呪い、何でもありませんから」


澄まして言うエアリスに、ユフィはにやりと笑いかけます。


「だって呪いかけたのエアリスだもんね?」

「なっ!?」

「そう。お姫様達に呪いをかけて、本当にふさわしい王子を見極めるのが、わたしの仕事」

「ふさわしい王子…」

「命をかけて姫を救いに来る。これこそ本物の愛、でしょ?
で、見事あなたも試練を突破してくれたんだけど…」

「“だけど”?」

「なんか…ある意味さっきのボスより危ないんじゃないかと思えちゃって」


頬に手を当て眉を寄せるエアリスの隣で、腕組みをして大きく頷くユフィ。
咄嗟に言葉も出ないクラウド王子。


「…どういう意味だ」

「だって、ここ、おあつらえむきなんだもん」


ベッド。密室。麗しい姫君。

確かに三拍子揃っています。


「姫を助ける熱意も腕っ節も愛もあったけど…」

「ここで肝心の姫を襲っちゃ本末転倒だしねぇ~」

「俺がそんな事するような男に見えるか?」

「「うん」」


きっぱり言い切られ部屋の隅でいじけ出すクラウド王子。



その時、ティファ姫が身動ぎしました。


「う~ん…。誰か…いるの?」
 
 

 


 
「ティファ!目が覚めた!?」


ティファ姫の元へ駆け寄るエアリス&ユフィ。


「あれ…?私、どうしてこんな所に…」

「無理して起きちゃ駄目よ、ティファ」

「そうだよ。まだ休んでて」


半身をゆっくり起こすティファ姫。

先程まで覆われていた赤褐色の瞳が潤み、光に反射してきらきら光っています。
起きたばかりの頼りなげな表情。
それでもエアリス達の姿を認めて微かに微笑む柔らかい表情はまるで天女のようです。


(これは確かに本末転倒してたかもしれない)


真顔でおいこらな事を考えるクラウド王子。

そんな王子の心を見透かしたように、エアリスが振り向きました。


「どう?わたし達の懸念、わかったでしょ?」

「とてもよく(きっぱり)」

「……あなたのそういうところは、いいと思うよ、クラウド」


ふとティファ姫がクラウド王子に視線を定めました。


「…?どなた?」


柄にもなくどきっとするクラウド王子。
目が合っただけでときめくなんて、そこだけは純情少年さながら。

姿勢を正して、自己紹介するべく口を開きました。


「クラ……」

「ああ、この人はね、何でもないの。狼さんよ」


割り込んだエアリスがにこやかに言います。


「狼さん?」

「ちょっと登場する物語を間違えちゃったみたい。赤い頭巾の女の子、捜してるんだって」

「そうなの…。ちゃんと戻れるといいけど・・・」

「大丈夫。それよりティファ、体調は?」

「うん、全然平気」


さらりとクラウド王子を流したエアリス。

口をぱくぱくさせる王子の肩に、ユフィが慰めるように手を置きます。


「いっそそっちの物語にいってみたら?きっと本領発揮できるだろ?」


エアリスに守られるようにして楽しげに話をするティファ姫を遠くで眺め、
王子は悲しい吐息を漏らしました。


「赤い頭巾の女の子がティファならな…」



 


 
「…めでたし、めでたし」

「これ、めでたいのかな?」

「うん、かなり疑問」

「めでたいじゃん。ティファの貞潔は守られたしクラウドは変態にならずに済んだし」

「「テイケツって何?」」

「あ~…。女の子のとっても大切なもの、ってところかな?」

「それが守られた話なの?」

「クラウドが奪うところだったの?」

「いやーあいつならやりかねないね。あーんなスカした顔してむっつりだから」

「「???」」

「ま、とにかくハッピーエンドで終わったことだし、子ども達はもう寝る寝る!」

「うん、おやすみ、ユフィお姉ちゃん」

「腑に落ちないなぁ…。まぁいっか」



翌日、子ども達から絵本の内容を聞かされたクラウドとティファは笑って逃げるユフィを追い掛け回した。

ティファは純粋に教育上の問題からユフィを怒っていたが、
クラウドはどうやら物語のオチに対して怒っているようだったので、
結局ユフィ共々正座させられティファの拳を味わうことになったとか。





ユフィお手製の紙芝居でした。

それにしてもうちのクラウドって変態ですね・・・(何を今更)
まぁ書いてるのが私だから仕方ないかな^^←
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